から救援物資を運んだり、患者を運んだりして、一生懸命やったのですが、海の上のことですからあまり目立ちません。直接お届けするのは別の人になりますし、緑の下の力持ちで一生態命やったわけであります。
いま、災害対策船の話がありましたけれども、そういった経験、教訓をこれから生かさなければなりません。災害のときにはいろんな情報が入ってまいります。情報を処理する、指揮をする、救助物資を提供する、患者に簡単な医療の手当てができる、宿泊ができる、最終的には災害対策本部の機能を持った船が必要だということになりまして、今二隻造っております。平成九年度、十年度にそれぞれできてまいります。これからは、船による災害面での活用も海上保安庁でお役に立ちたいと思っております。

海の環境保全
吉村 それでは次に海の環境保全について考えてみたいと思います。
−映像−
吉村 南波さんは以前NHKの人生読本というラジオの番組で、ヨットマンたちのマナーなどについて、最近セーリングを一緒に体験された全く素人の方の印象を話しておられます。払いまだに印象に残っているのですが、あのあたりのお話を伺いたいのですが。
南波 アメリカズカップから帰ってきまして、非常に驚いたことが二つあったのです。一つはアメリカズカップと同じマッチレース形式の学生のレース大会に、僕はスーパーバイザーとして招かれまして、見に行ったのですが、彼らもアメリカズカップ等のテレビから技術を盗んでいて、とてもいいレベルになっているのです。これは次の二〇〇〇年の大会には、この学生の中からアメリカズカップに入れるクルーが出るかなと頼もしく思ったのですが、その中の優秀なチームの学生がたばこを吸っていたのです。レースの合間なので、しようがないと思っていたのですが、たばこのフィルターをぽんと海に捨てたのです。フィルターはプラスチックで、溶けるのに二百年ぐらいかかると言われています。非常に残念でその選手をすぐに呼んで注意したら、分かってくれました。海を愛するヨットマンでも、そういう人がいたということです。
吉村 泉さんは陸上の公共空間の環境デザインを多数手がけられていますが、海のアメニティ(住み心地の良さ)を守るために、どのような努力が必要と考えられますか。
泉 海は広いな大きいなという歌がありますが、環境的に言うと決して広くもなく大きくもないのです。少ない資源だから、それをいかに汚さないかが課題です。今から二十年、三十年前までは、海を汚す原因というのは、例えば石油であり、産業廃棄物であって、産業的な汚染だったんです。
それが今の特徴は消費による汚染です。われわれ個々の人間に責任があるのです。
例えば、いま日本でパソコンが年間五百三十万台ぐらい廃棄されますでしょうか、それを海に埋め(捨て)ちゃえという説があるの

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